チャットモンチーが「完結」してから早1ヵ月。
完結することを知って、驚くと同時に、何となく納得した。
「ガールズ」バンドをずっと続けることって難しいんじゃないかな、と思った。
かれこれ10年弱くらい、チャットモンチーを聴いてきた。
彼女たちに感謝を込めて、メジャーでの楽曲全体を振り返りながら、なぜ「ガールズ」バンドが難しいと思ったかを書いておきたかった。書くのが遅い
チャットモンチーの魅力
僕が初めてチャットモンチーを知ったのは、シャングリラが地上波で有名になった直後くらいのこと。
シャングリラで有名になったのは知らず、『生命力』に収録されている「親知らず」を聴き、1曲目でガッツリ掴まれた。
等身大の歌詞、言葉をメロディーに乗せ心を揺さぶる上手さに。
親知らず
チャットモンチー
ロック
そこからは全部片っ端から聴いた。
これは個人的な音楽の聴き方なのだけれど、アルバム1枚聴いて、アルバム曲に掴まれたアーティストの楽曲は全部聴く。
アルバム曲が面白いと、全体が面白いと思う。(今はデジタルで1曲単位が主流になっているけれど)
そんな感じで聴いている僕が思う、チャットモンチーの魅力。
シンプルな演奏だけど3人のグルーヴ感
言葉のまんまなのだが、伝えやすくこれ!という動画はYoutubeにはなかった。
3人で1つ、というか(語彙が少ない)、そんなまとまりがすごく心地良いのだ。
3人での最後のライブ「WASH THE LIVEHOUSE ’09@Zepp Tokyo」の『Last Love Letter』なんかが僕は一番好きだ。
舌足らずな声とロックなサウンド
ギャップ萌えというやつ。(笑)
男が男らしさ、女が女らしさのようなどちらかに偏るのではない、真ん中に向かっていくような、そういうところが良い。
ツマサキ
チャットモンチー
ロック
分かりやすいのに、例えが上手い歌詞
ケンカした夜は早送り
思い出にしがみついた巻き戻し
一生忘れてしまいたいの 重ね録り
キレイなとこだけ残して 録画、編集ー『プラズマ』作詞: 福岡晃子
デジタルな彼と、アナログな私の日常が、「録画」。
いつもより ゆっくりお風呂に入ろう
泡てた答えは必要ない 汗るほどくもっていく鏡
いつもより やさしく頭を洗おう
お疲れ様は疲れてるんだー『テルマエ・ロマン』作詞: 橋本絵莉子
映画「テルマエ・ロマエ」の主題歌。「お疲れ様は疲れてるんだ」って、思わず上手い、とうなってしまうこの感じ。
2人になっても「チャットモンチー」
正直2人になった時は、そのまま解散してしまうんじゃないかと思った。
何より、3人で1つのサウンドが欠けちゃうのだから。
でも、解散しなかった。
2人でやっちゃう好奇心、というか、本当に音を楽しんでいるんだな、って思いを感じた。ドラムを叩きながら歌ってる『初日の出』なんかは本当にカッコいい。
サポートメンバーが加入した時(1年限定だったけど)、また元のように活動するのではとも思った。
完結 =「ガールズ」で終わらせたい意思
サポートメンバーが加入したのは、ボーカルの橋本絵莉子が出産した後のこと。再始動的な感じだったけれども、歌詞に変化を感じた。
鈍感ではいられない街 ここ東京
純粋では報われない声 張りあげろ
鈍感ではつまらない街 ここ東京
純粋では務まらない声
私はただ うたいたいうたが なくなっていくのが こわいだけなんだよ
ー『いたちごっこ』作詞:橋本絵莉子
いたちごっこ
チャットモンチー
ロック
約10年前にも東京のフレーズは出ていて、その時はまだ上京したての、まさに「ガールズ」。
ハチの巣みたいだ 東京
働きバチの行列だ
私はまだやわらかな幼虫
甘い甘い夢を見てる
ー「東京はちみつオーケストラ」作詞: 福岡晃子
東京ハチミツオーケストラ
チャットモンチー
ロック
この曲との比較の意図があって『いたちごっこ』を書いたのだろうけど、結婚・出産を通して、女性として身も心も変わりつつあることを憂いているような、そんな感じがした。その当時の活動の少なさも相まってかもしれない。
そして「完結」という発表があって、「ガールズ」バンドとして一貫性を持たせたい、そういう頑固さがチャットモンチーなんだと思った。
最後のアルバムも、今までとは違う打ち込みで作ったり、音を楽しみ新しいことをしようとするチャットモンチーらしさと共に、「女性・母」としての要素が同居する、余韻を残すアルバムだった。
まとめ
「ガールズ」バンドをずっと続けることが難しいかもしれないのは、女性としての心身の変化が大きいのかもしれない、と思った。
子供を育てるのも、家庭を守るのも女性、というのは固定概念しかないけれど、子供を産んで母になることは、女性の人生観を大きく変えるんだろうと。
『Last Love Letter』のPVでは、おばあちゃんになっても3人でLIVEをしている。
そういう日が来ることは今のところないけれど、いつかやって欲しい。
それまではとりあえず、サラバ青春。ありがとう、お疲れ様でした。