“Martin Margiela, London” by Denna Jones is licensed under CC BY 2.0
Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)やAnn Demeulemeester(アン・ドゥムルメステール)らと並び、名門ファッションスクール『アントワープ王立芸術学院』の黄金世代”アントウェルペンの6人”と称されるベルギー出身デザイナー、Martin Margiela(マルタン・マルジェラ)のドキュメンタリー映画が制作されていることが判明した。
自身の個性をデザインに介入させない「匿名性」
マルタン・マルジェラがエルメス時代について語る。| VOGUE
エルメスのデザインを手がけたことでも知られるマルタン・マルジェラ。
何よりも自身のブランド「メゾン・マルタン・マルジェラ」は主張しない。
デザインは主張しっぱなしだ。
コムデギャルソンのデザイナー、川久保玲に影響を受けていると言われる通り、常識をぶち壊し流行を否定する。奇抜過ぎて普段着にならないものもある。
そうではなく、「これを作ったのは私ですよ」の主張が一切ない。

コレクションの最後にランウェイを歩かなかったり、メディアへの露出はほぼない。
インタビューはFAXで回答、その回答も「私」ではなく「私たち」。
デザインにマルジェラ自身の人としての「個性」を混在させずに、純粋に「服」としてのデザインを見てほしいということなのだろう。
そんなマルジェラの「匿名性」が、ドキュメンタリー制作を注目させる理由だと思う。
2015/4/27に公開された短編ドキュメンタリー映画「The Artist is Absent」
ブランド名は継がれても、デザインは変わる
マルジェラ本人は2008年に引退し、その後はマルジェラと共にデザインしていたチームが引き継いだ。そして2015年からは、ディオールのデザインを手がけたことでも知られるジョン・ガリアーノがデザイナーとなり、ブランド名をメゾン・マルジェラ(Maison Margiela)に変更している。
マルジェラを引き継いでいるのかどうかは分からないが、ぱっと見はもうジョンガリアーノそのものだ。
※ジョンガリアーノ 2018年春夏
ファッションのデザインに限らず、誰にでも「その人そのもの」になることは出来ないし、そんなことをする必要はない。匿名である必要もない。ただ、「マルジェラ」としての名前が必要なことなのかどうかは疑問だ。