ナイキの知られざる誕生秘話はここまで熱い【東洋経済】

決定の日が来た。カナダはすでにシューズの生産を始めていて、日本にいつサンプルが流出してもおかしくない。発送の前に私たちは名前を決めなければならない。しかも搬送の日に合わせて広告を出す予定だから、グラフィックアーティストにも名前を伝えなくてはならない。最終的にはアメリカ特許局に書類も提出しなければならない。
ウッデルがオフィスにやってきて「時間切れだ」と言った。
私は目をこすった。「わかってるよ」
「どうなるんだ?」
「さあね」
私は頭が割れそうだった。全部の名前が頭の中に入ってごちゃ交ぜになっている。ファルコンベンガルディメンションシックス。
「実は……もう1つ案があるんだ」とウッデル。
「誰の?」
「今朝ジョンソンから電話がかかってきた。昨晩夢の中で新しいネーミングが浮かんだらしい」
私は目を丸くした。「夢だって?」
「彼はまじめだよ」とウッデル。
「いつだってそうさ」
「真夜中にハッとしてベッドから起き上がると、目の前に名前が浮かんでいたんだって」
私は身を乗り出して聞いた。「何て名前だ?」
「ナイキだ」
「はっ?」
「ナイキ」
「綴りは?」
「NIKE」とウッデル。
私は黄色いリーガルパッドにそれを書いた。
ギリシャの神、勝利の女神の名だ。アクロポリスの丘、パルテノン神殿、アテナ・ニケ神殿。私は旅を振り返った。簡潔で短い。(260ページより)
ビートルズの「yesterday」にも似たようなエピソードがありますが、これぞ神様のお告げというやつ。今のナイキがあるからこのエピソードが特別なものに感じられますが、こういうことは誰にでも起こり得るような気もします。信仰がどうだとかそういうことではなく、日常の些細なことにも気づくというか、気づいてどうするかで変わって来たりとか。
たった一語が運命を左右する、名前とか言葉って面白いですね。
 
SHOE DOG
フィル・ナイト (著),‎ 大田黒 奉之 (翻訳)
単行本: 560ページ
出版社: 東洋経済新報社 (2017/10/27)
 http://toyokeizai.net/articles/-/207656